身体にも環境にも優しい洗濯を始めませんか② 〜洗濯ネット〜
5回に分けて洗濯について書いてます。前回、洗濯機を使用する度に多くのマイクロファイバー がが抜け落ち、川や海に流出されていることに触れました。米国・カナダの平均的な家庭からは毎年、5.3億片以上のマイクロファイバーが自然環境に流出していると、昨年発表されました(海洋保護活動組織 Ocean Wise)。
そして、生分解性の低い石油由来とするマイクロファイバーは、川や海の中で自然に還らることができず、漂い続け、その結果多くの海中生物の体の中に入り、または、塩や水となって、私たちの体の中に入ってきています。
毎回洗濯をする度に、こんなリスクがあるとは考えもしませんでした...。
衣類の素材を見直し、なるべく天然素材を選ぶようにする。とは言え現代社会は合成化学繊維であふれています。ものによっては天然素材100%の製品を見つけることだって難しいものもあると思います。また、それぞれの予算もあると思います。欲しいもの・必要なものが天然素材でみつからないから買わない、使用しないというわけにもいかないと思います。それにそこまでのガマンは現在の生き方にふさわしくないと思います。
では、どうしたら良いのでしょうか。
ここでは対策は2つを紹介します。
① 水温を30℃以下に
洗濯をする際の水温を下げることで影響を軽減できます。繊維は30℃を超えるとより分解されやすくなるので、それ以下の水温で洗濯をしましょう。水温が通常の水道水の温度(約15℃)と温水(40℃)とで比べると、電気代は1回あたり13円も高くなるようです(参考:パナソニック)また、お風呂の残り湯を使うと水道代は半分になるようです。残り湯なら水道水よりも暖かいので洗剤も溶けやすいです。
これなら簡単。次回からすぐに始められますね!
②自然環境に優しい洗濯ネットを使用する
日本人の洗濯は世界的に見ても丁寧な洗濯をします。例えば、下着やデリケートな衣類を洗濯ネットに入れて洗濯するのも日本ならではだと思います。下着やデリケートな衣類を洗濯ネットに入れているのと同様にマイクロファイバー製の衣類も洗濯ネットに入れて洗濯することで、マイクロファイバーの流出を防ぐことができます。
しかし、ほとんどの洗濯ネットは自然に還らないポリエステル製でできていて、使用する度に擦れてしまい、更なるマイクロファイバーを生んでしまいます。
そこで、マイクロファイバー流出対策としてできた自然に優しい洗濯ネットが徐々に販売されてきています。
1つ目は、アウトドアブランド パタゴニアより販売されている『GUPPYFRIEND ウォッシング・バッグ』
大きめの洗濯バッグ(ネット)になっていて、その中にマイクロファイバー製の衣類を入れて洗うことで、洗濯時に抜け落ちるマイクロファイバーを集めてくれます。洗濯後にバッグ内に残ったマイクロファイバーを取り除き、適切に処分するだけ。また、バッグを使うことで柔らかな表面が繊維の抜け落ちを抑え、衣類の寿命を延ばすことができます。
もう1つが、オーガニックコットンブランド PRISTINEの『海にやさしい 洗濯ネット』
オーガニックコットンと生分解性に優れたでんぷん由来のポリ乳酸繊維を一緒に編んで作った洗濯ネット。ノープラスチックにこだわって、ファスナーなしで、マイクロプラスチックを生み出さないネットという素敵なコンセプトの洗濯ネット。サイズは2展開、衣類用とランジェリー用があります。
ネットは100円均一で買える...と考えると、これらは高い投資だと思いますが、私たち、そして子供たちの未来の為にも、このマイクロファイバーの問題は無関係とは考えずに、毎日の暮らしの中で使うものなので見直ししていけたらと、思います。
参考:
身体にも環境にも優しい洗濯を始めませんか① 〜洗濯の見直し〜
7月はプラスチックフリージュライと言うことで、プラスチックフリーに生活する為のヒントにやアイディアについてなるべく紹介していきたいと思っています。
プラスチックフリージュライとは?👇
その第四弾が、洗濯について。
日々の暮らしの中で、洗濯は欠かせない家事。
ほとんどの人がなんの疑問も持たず、当たり前のように洗濯洗剤を使っていると思います。私もその一人でした。
しかし、便利さと安さを求める現代社会では、その洗濯洗剤のほとんどがプラスチックの容器・包材に包まれ、泡立ちが良い合成洗剤や界面活性剤、黄ばみやすい白い服を白くしてくれる漂白剤や蛍光剤などなどが使われています。
持っている洗剤を見てみてください。何が含まれていますか。成分表記にカタカナやアルファベットで綴られている不明な成分が多く存在してませんか。その成分一つ一つの安全性を知っていますか。
洗濯する衣服やタオル、寝具などほとんどが体に直接肌に触れるものです。すすぎきれなかった化学成分は残留し、それが肌に触れることで、アレルギーや肌トラブルを引き起こしたり、人体や生態系に有害な恐れがあるとされています。
合成洗剤の全てが安全ではないと言うことではありませんが、その多くは最近作られた成分で、その成分が人や環境にどのような影響を及ぼすか等、まだ分かっていないことがたくさんあります。例えば先日触れたマイクロプラスチックビーズも2018年に法律改正によって使用抑制されたばかりです。今後も新しい成分の研究が進むにつれて明らかになり、使用抑制や禁止になり兼ねない成分もあるでしょう。
また、洗剤だけではないのです。洗濯排水はどうでしょう。どこに流れて行くのでしょうか。
日本は世界の中でも排水処理技術の優れている国です。とは言え、排水処理施設を介して河川・海に洗濯排水が排水されていたとしても、環境汚染を引き起こす課題は数多くあるのです。
日本では、産業排水が発生源となり、水俣病やイタイイタイ病など現在に続く公害病が発生し、世界的にも産業排水による水質汚染が重大な問題となりました。産業排水に対して規制ができ、排水処理技術も向上したことで改善されてきたが、一方で生活排水に対しては大きな対策が講じられておらず、水質汚染につながっています。
洗剤の面で見てみると、合成洗剤などによる化学物質汚染、ほとんどの界面活性剤の原料は石油由来なので環境負荷が高いです。水質汚染の軽減のためにも洗剤は自然由来のものを使うことが良いでしょう。
更に、洗濯による汚染は洗剤だけではないのです。
洗濯をする度に衣類から多くのマイクロファイバー(マイクロプラスチック)が抜け落ち、川・海に流出されているのを知っていますか?非常に細いマイクロファイバーは濾過装置をくぐり抜け、川・海に流出されているのです。
このような課題を踏まえて、私たちは日々の生活の中で洗濯とどのように向き合っていけばいいのか。
私たちにも環境にも優しい洗濯の方法を5回に分けて紹介したいと思います。
まずは根本的に洗濯について見直しについて。今日から見直しできる4つの点をここでは紹介します。
① 洗濯機を見直す
洗濯機を見直すことはそう頻繁にできることではなく、十数年に一度の大きな買い物であるとも思いますので、もしも買い替えを検討しているタイミングであればですが...洗濯機自体を見直すことからお勧めします。
洗濯機には縦型(トップローダー式)とドラム式(フロントローダー式)があります。縦型の方がドラム式に比べて7倍以上のマイクロファイバーを発生させます。もしも今すでに縦型を使っているのであれば、くず取りネットに溜まりやすいので、頻繁に捨てたり、ネットが破れてしまっていないか確認すると良いでしょう。
また、高性能洗濯機(HE)を使用することで、従来の20〜66%少ない水量、エネルギー消費量も20〜50%に抑えられます。
② 洗濯の回数を減らす
少量の洗濯物を毎日するのではなく、洗濯槽の容量いっぱいになってから洗濯機を回す。そうすることで、水と電気の無駄遣いが減り、時間のセーブにも繋がります(家事時短)。
また、毎回洗濯する必要があるものとないものを見分けましょう。肌着や靴下など直接肌に身に付けた衣類は毎回洗うが、デニムやスカートなどはよっぽどの汗をかいていなければ毎回洗う必要はないでしょう。冬場のセーターやジャケットはブラッシングしたり、タオルで拭いたりすれば、毎回洗う必要はなく、そうすることで衣類の持ちにもつながります。
お風呂上がりにキレイな体を拭いたタオルは毎回洗うのではなく、使用後すぐにしっかりと乾かせば雑菌は増えず、匂いも発生しにくいです。寝具も同様です。毎朝起きたら、寝具を干す等すれば、洗濯の回数を減らすことができるでしょう。
とは言え、汗のかきやすい夏はやはり洗濯の量も増えてしまいますし、仕事柄汚れやすい、汗かきやすい作業なども人によってはあると思いますので、それぞれのライフスタイルにあった洗濯回数に見直してみると良いでしょう。
③ 素材を見直そう
衣類は、毎日の生活の中で肌に触れるものなので、天然素材を選ぶようにする。
天然素材とは、コットン(できればオーガニックコットン)、リネン・ヘンプ(麻)、シルク(絹)、ウール(羊毛)、カシミア、モヘヤ等です。
逆にマイクロファイバーの原因になってしまうのは、ポリエステルやアクリル、ナイロンなどの合成化学繊維。例えば、フリースやポリエステル製の毛布などからは毎回洗濯する度に多くのマイクロファイバーが抜け落ちてしまいます。
特に安物の合成繊維の衣類は避けましょう。品質の低いフリースは、品質の高い製品(パタゴニア)に比べ、より多くマイクロファイバーが抜け落ちてしまいます。更には、何度も洗濯したもの衣類よりも新しい衣類の方がマイクロファイバーが抜け落ちてしまうことがわかっています。
安価で、スタイリッシュなファーストファッションが多くある現在だが、児童労働、低賃金労働など問題も絶えません。更には環境にまで悪影響を与えてしまう。それでもまだそのような衣類を身にまといたいと思いますか。
④ 天日干し vs 乾燥機 vs 部屋干し
天日干しの最大のメリットは、太陽の光や熱によって殺菌または菌の繁殖を防ぎ、菌による臭いを消す効果があること。しかし、紫外線によって生地が痛んでしまうデメリットもあります。また、家の作り・ライフスタイルによっては雨などによる心配で天日干しが難しい場合もあると思います。そこで近年では、乾燥機の使用が日本でも増えてきました。
しかし、乾燥機によってもマイクロファイバーが流出がしている可能性があるということが分かってきました。また乾燥機を使用した場合、終わった後すぐに取り出さないとシワになりやすく、アイロンがけをする必要が出てくることもあります。
共働きの家庭だと、部屋干しが一番安心して、外出できます。部屋干しのデメリットと言えば、梅雨時期等の生乾き臭。これには私も悩まされました。除湿兼衣類乾燥機を使えばあっという間に乾いて臭いもしません(この時その部屋の戸や窓を閉じておけば余計な湿気が入らず、効率よく乾燥することができます。。
それぞれのライフスタイルにあった方法で、洗濯する本人が心地よく、身体にも環境にも優しい洗濯方法を見直ししてみませんか。
次回は、マイクロファイバー対策について紹介します。
参考:
ティバッグの真実とストレーナー
7月はプラスチックフリージュライと言うことで、プラスチックフリーに生活する為のヒントにやアイディアについてなるべく紹介していきたいと思ってます。
プラスチックフリージュライとは?👇
その第三弾が、ティバッグ。
高級紅茶に使われているプラスチック製ティーバッグから何十億もの「マイクロプラスチック」が放出される可能性があると、環境と技術の米学術誌「Environmental Science and Technology」が発表した最新研究結果で明らかになった(2019年9月)。
その内容は以下の通りである。
一般的なティーバッグのほとんどは紙製だが、一部の高級ブランドはプラスチック製のものに移行している。
そこでカナダのある大学研究チームは、プラスチック製のティーバックに入った、一般に流通している紅茶4種類を使い、実験を行った。
茶葉を取り除いた空っぽのティーバッグを紅茶を抽出する時と同様に95度のお湯の中に入れた。
すると、ティーバッグ1袋あたり、約116億のマイクロプラスチックと、31億のナノプラスチック(マイクロプラスチックより千倍小さい粒子)がお湯の中に放出されていることが分かった。こうした粒子は肉眼ではまったく確認できない。
「ティーバッグから放出された粒子」の量は、過去の研究で明らかになった、食品に含まれる量よりも桁違いに多い」という。 BBC NEWS JAPAN より引用
近年の研究で、人体からもマイクロプラスチックがみつかっている。しかも全検体からみつかったという。マイクロプラスチックが人間の健康に及ぼす影響はまだ明らかとなっていないが、鳥や海洋生物の生殖系や肝臓に影響が出る可能性が指摘されている。更に、ナノプラスチックはマイクロプラスチックよりも遥かに小さい為、消化器系だけに止まらず循環器系に入る可能性があると言われている。いずれにしても環境ホルモンなどの有害物質が含まれるマイクロプラスチックが完全に排泄されず、一部が体内に溶け込んで蓄積されていったとしたら、体への影響を考えると大変恐ろしいことです。(ナショナルグラフィック)
なお、ティバッグだけでなく、だしパックにもマイクロプラスチックが含まれている場合があります。何れにしても、パックの素材が天然素材の紙や麻であるものを選び、ナイロン、ポリプロピレン、不織布でできているものは避けましょう。
一番安心なのは、茶葉を使い、ストレーナーかポット、ティプレス等を使って淹れること。
個人的にはストレーナーが気軽で、洗うのも楽なので愛用してます。夫は毎日カモミールティを紙のティバッグで飲んでます...。
コンポストできるとは言えシングルユースなので、正直ティバッグ反対派です。けれども今のところカモミールティを茶葉で買えるところがない(田舎町すぎて...)ので仕方ないのかな、と考えてます。使用後のティバッグを、私が化粧水代わりに顔にパッティングしてから(二番茶にして、クエン酸リンスに使ってもOK。髪にツヤを与えてくれます)コンポスト行き。
いずれは、カモミール栽培して自家製カモミールティを目指しているのですが、なぜか種を蒔いても芽が出ません...。
使った後の茶葉も再利用しよう👇
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