カシュー(学名: Anacardium occidentale、英名: cashew )

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私とカシューの木の出会いは、ジャングルファームに引っ越してきた翌年の初夏。
大家さんが “Try this" と一つの果物を持ってきてくれた。その果物はりんごのような果物が上についていて、下に何だか種のようなものがついている。大家さんは果物は食べるのではなく吸い付いてごらんと言う。そしてその下についている種は猛毒だから食べるなという。
言われた通り吸い付いたらすごく甘いジュースが滴るほどいっぱい。繊維が多く食べづらいけどジュースがなんとも甘い。その美味しさに感動していると、これは "Cashew Apple" と言うんだよと教えてくれた。
 
初めて見、食べるこの果物に魅了されて、その木に会いに行くと、とても豪快にたくさんの腕を広げている。表を見ると緑・赤・オレンジの大きな葉が太陽に向かってお祈りしているよう。私の住むメキシコではなぜか "Nuez de India“(インドのナッツ)と呼ばれるこの木だが、原産は中南米・ブラジルである
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カシューナッツは知っていたけど、まさかカシューナッツの上にりんごの形をした果物がついていたとは知らなくてどんどん魅了されていく。
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調べていくとこの果物にはタンニンが含まれておりインドGoaではFeniと呼ばれるカシューアップルの蒸留酒を作っているという。youtube見て、真似して作ってみたけどあまり美味しいものではなかった...。そのまま発酵し続けてヴィネガーも作ってみたけど私好みではなかった...。
 
蚊と戦いながら必死に収穫したのに残念。気を取り直して去年は短めの発酵で発酵液を作った。

これはうまくいって、以前からお客さんから要望をいただいていたグルテンフリーパンの酵母液として実験を繰り返してみると成功。今では大人気のグルテンフリーブレッドの発酵液 (Tropical Sourdough) の一材料として使っています。
 

グルテンフリーのパン

 
今の季節、フレッシュのカシューアップルのジュースは彼の大好物で、ワイングラスに入れて冷やして食後酒(お酒は入ってないけど)として頂く。
 
 
さて、肝心なナッツの殻にはウルシオールというウルシ科の植物に含まれる樹脂で、肌に触れると危険(毒)で、殻を剥くには特別な処理方法があるとのこと。未だ我が家で穫れるカシューナッツをいただいたことはなくて、毎年窓辺で天日干しで終わってしまいます...。
そこで今年は試しに植えてみたら一つだけ発芽してくれました。もうかわいく可愛くていろんな人に見せびらかしています。そして、カシューツリーの下に行ってみるとたくさん発芽していました。
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<その他のカシュの利用方法>
カシュの新芽、葉っぱと蕾はアジアでは生食されており、果物であるカシュアップルは蒸留酒の他、ワイン、ヴィネガー、ジャム、チャツネ等が作られている。
メディスンとして葉、花、樹皮、ナッツの殻から取れるウルシオールが使われており、中でも南アメリカ原住民の中では樹皮は避妊薬として使われているとか。
カシュアップルの搾りカス、ナッツの殻、そして葉は草木染めに使われるとか。